水面に甘く溶ける角砂糖
1.[ Destiny](1/168)
 *成瀬 伊織 編



急いで出口へと向かい
ドアノブを掴んで初めて


自分の手が震えている事に気付いた


失うかもしれない


浮かんだこの文字が
この震えを引き起こしていた


ドアを開いた先は
霧雨がシトシトと空を濡らし


それがまるであの時の
自分の姿と重なって見えて


余計に胸騒ぎを引き起こす


もし…また、あの時みたいに
二度とあの声を聞けなかったら


後悔なんて言葉では
収まりきらない感情が


霧雨の中へと流れ込む


「………二度とごめんだ」


ポツリと溢した言葉は
幼い記憶の中に残るあの時の気持ち


もし、これが俺の選んだ
運命だと言うのなら


今度こそは…
それを変えるのは、俺だ


降りしきる霧雨の先を見据え
そのまま、目指す場所へと


走り出していた


Destiny






- 1 -
前n[*]|[#]次n
/2119 n
⇒しおりを挟む
⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook
[←戻る]